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「鶯啼庵」労働保険審査会組合主張通る!

㈲慶徳屋・鶯啼庵の労働保険審査会で、2020年3月13日付で八王子労働基準監督署が組合員村上さんに労災認定した際に示した休業給付に伴う算定基礎日額及び労働時間算出に誤りがあり、改めて、八王子労働基準監督署に計算のやり直しを命じる画期的な裁決が出されました。


「労災認定における、労働基準監督署の調査について」

「鶯啼庵」当該、村上弘樹~

私が、2016年11月17日に長時間労働による「過労うつ病」と診断され、休職を余儀なくされてから3年半が経とうとしています。当時の私はそれまでの長時間労働による、体力的な疲労と精神的なストレスにより、身動きも出来ないでいた中、妻が身の回りの事や労災申請の手続きなど献身的にしてくれた為、労災認定も認められ、今迄、無事に生活を送れて来た事に感謝しています。1990年から(有)慶徳屋に勤めてから、2009年12月2日に取り交わされた「給与改定同意確認書」にて、違法な給与減額に「強制的」に同意させられ、更に、2011年には「給与改定確認同意書」も無いまま、口頭で通知により再度、給与減額をされ、この時の給与が労災認定の賃金算定基準額になりました。この「同意書」の内容は、「給与明細の基本給には残業代が含まれた状態で会社は運用していたが、表記上、『基本給+調理(人)手当(残業代相当)』と明記する事にした」としていますが、手当の何時間分が相当する時間数の明記がありませんでした。更に、「手当を超えた時間の残業代は、さらに支払う」と明記されていますが、団体交渉で賃金台帳を提出させましたが、過去に個人の労働者の勤務時間の計算すら行われていないことも明らかになりました。給与明細書にも勤務状況を記入する欄はありますが、私が慶徳屋に入社以来記入はしてきませんでした。労基法上、「固定残業代」について明確な条文はありませんが、厚労省、都道府県労基署などのリーフレットには、「望ましい」要項が示されています。この「同意書」は「望ましい」要項をほとんどクリアされていない内容の書面であることが判明し、私と組合は団体交渉の中でも何度もその違法性を主張してきましたが、会社代理人弁護士は、それはあくまでも、組合の「主張」だと、一貫して法的違法はないと抗弁し、また、労働時間算定においても労基署の判断とはまた別に休憩時間が3時間あったと一方的に労働時間を削減して、未払い残業代の計算を行い、2019年9月30日の団交を最後に今日まで、「お互いの主張が噛み合わず、自律的な解決にならないので会社は団体交渉を受け付けない。東京都労働委員会のあっせん、及び第三者の下による話し合いには応じる」と団交拒否をしてきています。そうした中で、労災認定による、給付基礎日額算定に対しても、労働時間の算定及び「同意書」の無効性を主張し、審査官請求をしましたが、2018年9月に「棄却」され、すぐさま、再審査請求を「労働保険審査会」に申請しました。組合に加盟した当初から執行委員長には「もし、審査会まで縺れるとなかなか難しいかもしれない」と言う話は聞いていましたが、2020年3月13日付審査会の「裁決書」で、労基署が判断した、労働時間の算定及び給付基礎日額の金額を「取り消す」と判断し、「計算のやり直す」決定をだし、現在(2020年4月3日)再調査中です。労基署に確認したところ、決定されるのは1~2ヶ月位との事でした。一方、2020年3月27日に会社側に団体交渉申入れを行いましたが、会社側は一貫として、団交をするなら第三者を介した話し合いには応じる姿勢は変えないため、労働委員会への救済申し立ての準備をしているところです。今回の労災調査に関して行政レベルで、労働基準監督署長の下した「決定」に対して、「取り消す」裁決をした「東京労働保険審査会」はいとも簡単に「給与改定確認同意書」の無効性を見抜きました。私達から見れば労働基準監督署でこれ位の判断をしっかりしてもらわなければ、幾ら職員の数が少ない状況の中でも、調査の杜撰さが明らかになったと言えます。私と同じ様な問題を抱えている方達の支えになった事案になったと思います。



会社の言い分を鵜呑みした杜撰不当な八王子労基署の労災課調査

~執行委員長中山善博~


今回の労働保険審査会において組合が問題とした内容は、村上組合員も述べているように労働時間の算定、とりわけ出勤時間についての判断をめぐる問題と平均賃金を算定し、休業補償を支給するにあたっての給付基礎日額をめぐる問題の二点でした。

㈲慶徳屋では、労働時間管理はタイムカードによって行われていましたが、村上組合員が入社した30年前から出勤時にはタイムカードを打刻させながら、帰宅時には打刻させてこなかったという極めて悪質な労務管理がなされていたことでした。

更に、賃金がリーマンショック以降2度にわたり減額され、最初はそれまでの基本給を基本給+固定残業代に分けられた時に「給与改定同意確認書」へのサインを強要され、更に、その次は確認書もないまま基本給が大幅に減額されていたことです。

まず、労働時間の算定についてですが、厚労省はタイムカードによる管理を求めています。しかしながら、労基署は会社関係者からの聞き取りで、次のように判断しました。勤務開始時間を村上組合員からは「自分の仕事に合わせて出勤することになっているとされており、個々の勤務開始時刻に関し、明確な業務命令はなされていない」とし、料理長や従業員(マネージャー)らの聞き取りからは、「不必要な早出出勤をしていると指摘されており、一般に出勤時間は退勤時間に比べ他律的要素が少ないことから記録された時間をそのまま採用することは適当でないと考えられる。よって、勤務開始時間は記録上の8時台の出勤打刻時刻が多数あることを踏まえ、就業規則上もっとも早い勤務開始時刻である午前9:00として推計する。」としました。

一方、審査官の判断には、村上組合員の意見書や組合の意見書に基づいて、会社にその点を新たに調査した痕跡はないのです。決定書ではもっぱら「必要性が見いだせない」と述べ、「出勤時間は事業主の業務命令によるものとは判断できないことから、記録された時間をそのまま採用することは適当でないと考えられる」とし、「勤務開始時間は就業規則上最も早い勤務時刻である午前9:00を採用する」としたのです。

この調査の杜撰さは、社長加藤が労基署に提出した使用者申立書ですら、繁忙期が春秋と土日祝日としていながら、その時期のタイムカードを確認して、出勤時間が早くなっていないかどうか、他の同僚の出勤時間も併せて調査した痕跡はないのです。その上で、就業規則では仲居さんなどのホールの出勤時間を基に、9時と断定していること。長年にわたって残業代を支払ってこなかった悪質な労務政策を取っていた事業所であることをしりながら、経営者の言い分を鵜のみにしている労災課の調査の実態でした。

厚労省は、平成13年4月6日付基発339号、その後の平成29年1月20日付、基発0120第3号で各都道府県労働局長宛てに本省労働基準局長から「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置にかんするガイドライン」が発出され、その3号の中には「労働時間とは、(略)使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間である」とし、「労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより客観的に定まるもの」であり、「客観的にみて使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること」と記載されています。労基署はこのようなガイドラインすら無視した判断をしていたのです。

更に、賃金が大幅に減額されている問題については、固定残業代についての判例などを組合は引用し、会社が村上組合員に強要した2008年12月の「給与改定同意確認書」の違法性は、①固定残業代としながらその時間が明記されていないこと②労基署が判断した「調理(人)手当」なるものが、就業規則にも確認書にも記載がないこと(就業規則では「調理手当」、確認書では「調理人手当」。就業規則の調理手当はそもそも職能給で、基準内賃金(残業計算する際の基礎にすべき賃金)であることなどから、給与改訂同意確認書の無効を主張しました。この点について審査官は「三多摩合同労働組合は賃金カットは違法である旨申し立てるも、請求人から事業場あての異議申し立ての事実が確認できず、事実上、その賃金形態にて請求人は賃金を受けていたものであり、三多摩合同労働組合の主張は採用できない」といとも簡単に切り捨てていました。今回審査会はこの点を丁寧に判断しています。この点が極めて画期的な判断と言えます。以下に調理人手当についての判断の部分を引用して、報告とします。(※引用部分の金額は省略しました。)


3 当審査会の事実認定及び判断

(3)調理人手当

 請求人の賃金台帳(乙32)によれば、算定期間において、基本給、調理人手当及び通勤手当が支払われているところ、監督署長は、「調理人手当全額を固定残業代とし、差額を平均賃金の算定の基礎に含める」としている(乙19)。

 この点、調理人手当に関しては、平成21年12月2日付け給与改定同意確認書(甲7)には「現在、貴方に支給されております給与は、「基本給」と「調理人手当(固定残業代相当)」を見込んでの構成となっております。明細上の項目記載をこの表記によるものとし、平成21年7月から下記の通り改訂することといたします。(支給総額は従来通りであり、変更はありません)」として「基本給××万円」を「基本給××万円、調理人手当××万円」に変更する旨が記載されており、調理人手当は「想定されるひと月における一定の時間外労働時間分の賃金となります。」とされ、「想定された時間外労働時間を越えた場合は、その超えた時間分の残業代をさらに支払うこととしています。」とされ、「ひと月の労働日数・時間・休日は前月までにシフト表を作成し、通知します。」、「昇給等により基本給が変更することになった場合は、単価は再計算されます。」とされている。しかしながら、(2)において、時間外労働をしていたにもかかわらず、上記給与改定同意確認書の調理人手当記載部分には、支給対象である月所定労働時間数を超える労働時間数が記載されておらず、賃金台帳(乙32)によれば「超えた時間分の残業代」が支払われていた形跡はない。

 また、上記給与改定同意確認書において「基本給××万円、調理人手当××万円」とされていた賃金が、算定期間においては「基本給××万円、調理人手当××万円(乙32)」とされており、基本給減額の理由や残業単価再計算の有無が明らかでなく、調理人手当の額は、基本給を基に一定の時間外労働を想定して算定したものとは言えない可能性もある。

 就業規則(乙35)には、第71条として「職能手当は、従業員の職務能力に応じて支給する。(調理手当には残業も含む)」と調理人手当のこととおぼしき規定がなされているが、これについてどの程度の時間分の残業を含むのかは規定されていない上、調理人手当が調理手当と同一のものであるか不明である。

 そうすると、調理人手当は、基本給と区分して支払われ上記給与改定同意確認書で1か月の定額の割増賃金とされているものの、合意の記載に従った運用がなされているのか、調理人としての特別な技能や能力に対する本来の特別手当が含まれているのかが不明であると言わざるを得ない。

(4)したがって、請求人の給付基礎日額は、監督署長が、始業時刻を一律午前9時として算定した○万○○○○円を超えることは明らかである。そして、調理人手当については、固定残業代として有効であるのか、また、平成21年12月2日以降の基本給減額が有効であるのか、それらの点について調査を尽くす必要があることを付言する。

三多摩合同労働組合  東京都立川市曙町3-19-13-104
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